今年6月8日、社会慈業委員会「ひとさじの会」を創設された原尚午氏と吉水岳彦氏が、わざわざ私のために宴席を設けて下さいました。
その席で、お二人は、ひとさじの会設立の経緯、会の理念・目標などを情熱的に語って下さり、さらに思いがけないことに、私ごとき者に対して「曽田さんにわが会の活動、特に生活困窮者に対する「食糧支援活動」を関西に広める役割を担っていただけないでしょうか。ぜひお力をお貸し下さい」と深々と頭を下げられたのでした。
お二人の私に対するあまりの買いかぶりに戸惑い恐縮しましたが、それ以上に、お二人の「社会慈業」にかける崇高な利他のご精神に痺れるほどの感銘を受けた私は、「ここで逃げては男が廃る」と、浅才非力の身を省みず、一肌脱がせていただくことを即断しました。
そこで、まず、私の地元である米どころ滋賀から食料支援体制を確立しよう考え、友人の井野周隆氏と二人で相談を重ね、滋賀教区所属寺院から仏供米のお下がりのご喜捨を募る運動を企画立案し、滋賀教区浄土宗青年会で事業化していただくべく、会長の伊藤真昭氏に相談させていただきました。
伊藤氏はさすがに、今年、滋賀浄青とNPO法人「五還生活」との協働による「余剰品融通運動」を企画主導され、「五還生活」を第3回「共生・地域文化大賞」助成部門採択へと導かれるなど、ボランティア活動に情熱を注いでこられた方だけあって、拙案に快くご賛同下さり、「いきなり滋賀教区から始めるよりも、実験の意味を兼ねてまず甲賀組から始めたらどうか。甲賀組所属寺院一ヶ寺あたり浄米一升のご喜捨をいただくことを目標にし、「甲賀米一升運動」と銘打って展開したら面白いのではないか」と的確かつユニークなアドバイスを下さいました。そしてこの「米一升運動」を、甲賀組浄青の役員会議に事業案として上呈すべく、会長の山添恭寛氏に働きかけて下さいました。
山添氏は伊藤氏のご意向をご快諾下さり、11月29日の役員会議で私に「米一升運動」をプレゼンテーションする機会を与えて下さいました。甲賀浄青には長らくご無沙汰、不義理をしていた負い目もあってガチガチに緊張してしどろもどろになってしまい、セコンドについてくれた井野氏にこっぴどくダメ出しを食らう始末でしたが、役員諸氏が慈悲心を起してくださり、新事業としてご承認をいただくことができました。
そして12月4日、山添氏のお骨折りのお陰で、甲賀組部長会のご賛同を得ることができ、晴れて「米一升運動」を実施できる運びとなりました。とりあえず、「ひとさじの会」と「滋賀浄青」との協働による食料支援体制確立への道筋をつけることができ、原氏・吉水氏のご期待に僅かながら応えることができたとホッと胸を撫で下ろすと同時に、惜しみないご協力を賜った伊藤氏・山添氏・井野氏に心から感謝した次第です。
この程、「米一升運動」の実施時期が、来年1月10日~25日に決まりました。寄贈先は「ひとさじの会」と「フードバンク関西」です。12月18日に依頼状を甲賀組所属全寺院へ発送させていただきました。あとは、ただただ諸大徳が「米百俵」ならぬ「米一升」の精神を発揮してくださることを祈念するばかりです。
以上が、「甲賀米一升運動」 の実施に至るまでの顛末です。運動の経過と結果につきましては、続編としてご報告いたす所存です。合掌
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