私は、8月から9月まで、3度続けて炊き出しに参加させていただきました。
酷暑のとき、ホームレスの方々は、あまりの蒸し暑さでぐっすり眠れない夜を過ごしているとのことでした。
一転、秋風が吹いて過ごしやすくなると、今度は気温の変化の激しさに、風邪をひいている方が多く、マスクや風邪薬を求める方がたくさんいらっしゃいました。
いつの季節でも路上で生活するということは、様々な困難を強いられるのは間違いありません。
初めて参加したときのことです。
4時からお米を炊き、200個のジャンボおにぎりを作り、法要をした後、それぞれの頭陀袋におにぎり10個を入れ、皆で「いろは商店街」に向かいました。
アーケードのここそこで寝ているホームレスの方々ひとりひとりに声を掛け、おにぎりを渡していきます。
「ありがとう。ご苦労様」「今度はいつ来るんだ」「あんたのところのおにぎりは大きいねえ」などなど声を掛けられました。
すると、一人のホームレスの方から、「俺はおにぎりなんていらない。こんなことやっても何の足しにもならない。俺を救ってみろ」と言われました。
これまでの行政とのかかわりや、ボランティアの方々とのかかわり合いの中で不愉快な思いをされたのでしょうか。
何か仕事にトラブルがあり、腹を立てていたのでしょうか。それとも酒に酔っていたのかも…。
ともあれ、炊き出しをするという行為が、すべての方々に受け入れられるかというと、必ずしもそうではないということを知りました。
私は何も言うことができすにそこを去りました。私は何と答えればよかったのでしょうか。いまでもよくわかりません。
あのとき、ホームレスの方は、私に対し、なぜお前はおにぎりを配っているのかという覚悟を問うていたのかもしれません。
なぜお前はおにぎりを配っているのか…。
いまでもあの言葉は、少々の痛みと共に心の中に鎮座しているのを時折感じています。
ともあれ、このように様々なことを感じ、考えさせられる場を提供してくれている、また温かく仲間として迎え入れてくれる、「ひとさじの会」のメンバーの方々には心より感謝しております。
これからも、様々な体験を通じて自分と向き合い、そして少しずつでも心を耕していきたいと考えております。