≪回向≫
平成23年3月11日14時46分に東日本大震災が起こるによりて、数知れない多くの人々被災す。本日、それより7日を経て、多くの人々が無事救出されることを祈るとともに、すでにいのち尽きた者の極楽往生を願う者相集い、一会の法会を建立し、一心に掌を合わせ、阿弥陀如来の無上功徳を備えたる念佛を称揚す。阿弥陀如来の名号は、いかなる者が称うとも、一声ごとに等しく無上功徳を得るものなり。しかれば、この法会におきて称うる念佛の功徳、まさに無量なり。願わくばこの功徳をもって、東日本大震災被災者無事救出せしめられんがために、如来大慈悲哀愍護念 同称十念
ならびに、東日本大震災殉難者諸精霊位極楽往生せしめられんがために
神超浄域業謝塵労見佛即入無生 同称十念
南無阿弥陀佛
大変急なお呼びかけの上、ところによっては停電で移動がままならない中、大本山増上寺の慈雲閣にて30人を超える方々に共にお念佛を申していただけたこと、本当に有難く存じます。
また、北海道、神奈川、東京、京都、和歌山、浄土宗宗務庁、浄土宗総合研究所・・・。とても多くの地域のお寺や職場で同時に法要をおつとめいただきました。場所は違えども、同じ想い ―生存者の安寧を願い、被災殉難者の死を悼む― で同時に黙祷をささげ、お念佛を申していただけたことを、深く感謝申し上げます。
総本山知恩院においては、浄土宗ご門主猊下の御導師のもと法要が営まれました。このことは、世間の苦を直視して、阿弥陀如来さまの慈光を社会にも伝えようという御姿勢をお示しいただけたように感じました。本当に尊いことです。
みなさまご承知のとおり、現地の方々はまだ祈るような時間をとること、多くの人と集まることも困難な状況にあります。
南相馬郡のあるお上人は、「もう少ししたら私たちも慰霊の場、祈りの場をもちたい」とお話されていたそうです。
ご遺体の九割が遺族に引き渡されていない今、多くの方が生を祈り、安否確認を必死に行っております。そのような中で法要のことを知れば、悲しい気持ちになろうとも思います。
それゆえ、今の時点で現地の方に法要をお知らせすることはいたしません。
しかし、一方で、東京へ非難された方が、落ち着きを取り戻されたとき故郷の方の無事を祈り、いのちを落とされた方の死をともに悼む場所をご用意させていただくことも大切なことではないでしょうか。
ですから、多くの方々の無事と、早い復興を祈ると共に、亡くなられた方々の死を、被災者の方々とともに悼むことができる場所を、引き続き法要を七日ごとに行うことでご用意したいと考えております。
これは被災殉難者の往生を願うのみではなく、生存者が阿弥陀さまの慈光による護念をいただき、安寧を得られることを願う法要です。 ですから七日七日の法要とも少し異なります。
次の「被災者とともに~生を祈り、死を悼む~」は、24日の14時46分で、今回と同じく黙祷とお念佛会を予定しています。
今後もご一緒にこうした祈りを続けさせていただければ幸いです。
何卒宜しくお願い申し上げます。合掌 南無阿弥陀佛