東京スカイツリー開業、ほおずき市、隅田川の花火大会・・浅草周辺でたくさんのイベントが開催され、街は多くの観光客で賑わいをみせています。
しかし、その裏で、路上生活の方々の追い出しが加速され、街の片隅にさえ居場所を失うホームレスの人もいらっしゃいます。
そのような中、今回のひとさじの活動の中でとても嬉しいことがありました。
これまで、第2・4月曜日の20時頃になると、浅草の駅周辺にいらして、おにぎりをお渡ししながら色々な話をしていたKさんのことです。
Kさんは、時には「昨日から何も食べていない・・おにぎり1つじゃ足りないよ」と文句(?)を言われる、路上生活10年以上の大ベテランのホームレスのおじさんです。
そんなKさんが、ひとさじの会とのつながりをきっかけに路上生活からの脱出に成功したのです。
Kさん曰く「足なんか向けて寝られねーよ」というように、Kさんの「路上生活からの脱出」の裏には、どんな時でもKさんを信じ、あきらめず真摯に向き合うことを続けてこられたひとさじの会の僧侶の姿がありました。
生活保護の申請ができ、山谷のアパートで独り暮らしを始めたKさんは、しばらく通院して体をしっかり治すことになりましたが、住居が確保され、少しずつアパートでの生活に慣れてきたKさんは、心身共に安定し、路上生活の時とは全く違う穏やかな表情で身のうえ話や昔見た映画の話を楽しそうにしてくれるようになりました。
アパート暮らしが半月を過ぎた頃のことです。
「これまで色々とひとさじの人に世話になったので、何か恩返しをしたいと思っているんだけど・・何がいい?」とKさんが尋ねてきました。
そこで「もしもKさんが良ければ是非一緒におにぎりを握っていいただけないでしょうか・・」と提案したところ、少し照れながらもKさんは快く引き受けてくれたのです。
そして、初めてKさんがメンバーとして「ひとさじの会」に参加して下さったのが今回の活動日でした。これまで路上生活を続けていたKさんが、今日は路上生活の人々のために心を込めておにぎりを握ってくれました。
そして22時までの配食も「途中で帰るわけにはいかないよ・・」と最後まで一緒に回って下さり、路上生活の人々のために一生懸命になっておにぎりとお茶を配ってくれました。そんなKさんの姿をみていると本当にうれしくて胸がいっぱいになる思いでした。
今回、ひとさじの会のメンバーのことを「仲間」と呼んでくれたKさん。そして「今日、一緒に活動できたことがとても嬉しかった」と言ってくれたKさん・・本当にどうもありがとうございました。
感謝の気持ちでいっぱいです。これからもずっと仲間として一緒に活動できることを願っています。