午後11時過ぎ、空腹だ。遅い夕食。食卓に並ぶのは、自分も参加して作ったベトナム春巻き2本と、300グラムの特大おむすび一つ。配布後の余りをいただいた。
「ホームレスの人たちは、もう食べ終えたのかなあ。明日一日分の食事にするのかな」。
ホームレスと同じものを自分が食す。
うまいと思う。彼らも自分と同じく、腹が減れば食べ、食べることで生きている。ごく当たり前のことを胃袋が感じる。なんだか、おむすびに両手を合わせていた。
おむすびを渡す時に触れた手は温かい。言葉を交わせば、感謝もされる。自分と同世代と思える人もいた。
なぜここに。どんな人生だったのか。抽象的存在が、生身の人であったのだと認識する。胃袋がダメを押した。
参加して、劇的に自分が変わったわけではない。彼らと友人のようにハグできるかと問われれば、できない。活動が社会を劇的に変えるわけでもない。
でも、活動には意味があるし、参加したことにも意味がある。ボンヤリとだが、そう思う。きっと、人は捨てたものではないし、捨てるものでもないのだろう。